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今回のインタビューについて
米粉は、小麦アレルギーの人が食べるものだと思っていませんか?
お母様の病気をきっかけに米粉と出会い、その魅力を知ったという酒井様。
「制限食から生源食へ」という思いのもと、米粉専門のパン作り研究家として活動されている、といーと代表の酒井佑佳様にお話を伺いました。
事業内容について教えてください
現在私は、愛知県長久手市にある自宅とオンラインで「パンダフル工房」というグルテンフリー・特定原材料7品目不使用のパン教室を運営しています。また、「パンダフル工房」のパン作りの知識や技術を学び、自分でもパン教室を開いてみたいという方向けに、認定講師の育成にも取り組んでいます。
その他に、特定原材料7品目不使用で米粉を使ったレシピ動画が見放題のオンラインサロン(月額500円)の運営や、マルシェ・店舗での米粉パンの販売を行っており、より米粉パンを身近に感じていただきたいと思っています。
なぜこの事業を始めたのですか?
私が米粉パンの研究を始めたのは、母の病気がきっかけでした。今から6年ほど前、母の持病が悪化して入院した際に、病院の食事制限がとても厳しかったんです。確かにその病院の食事は、母の病気にとって適した内容でしたが、元々食べることが好きだった母は、病院食を「食べたくない」「美味しくない」と言って食べる量が減り、痩せ細ってしまいました。その姿を見て、私は娘として、そして管理栄養士として、食事制限がある中でも食べることを楽しめるものを作り出せないかと考えました。その結果、当時得意だったパン作りのスキルを活かして、小麦粉よりも体に良い米粉で作る、米粉パンの研究を始めることになりました。
他の米粉パン教室との違いは何ですか?
米粉パン教室の先生方は、自身のお子さんがアレルギーである事がきっかけで勉強されている方が多くいらっしゃいます。私は、身近な家族や友達に食物アレルギーの人がいないので、教室に来ていただく方の気持ちに寄り添えないんじゃないかと思うこともありました。ですが今では、自分はアレルギーが無くて色んなものが食べられるからこそ、一般に売られている小麦や卵を使用したパンに近づけた米粉パンを再現できていると感じています。実際に作っているパンも、メロンパンやフランスパン、お惣菜パンなど、他の米粉パンのお教室ではあまり見かけないパンも多く扱っており、生徒さんから大変好評をいただいています。
また、米粉は小麦アレルギーの方が食べるものというイメージがあると思いますが、最近ではアレルギーがない人にも米粉のことを知って頂く機会が増えてきたと感じています。米粉は代替え品として食べるだけではなく、美味しいから作る・食べるという選択肢の一つとして考える人が増えると嬉しいです。
そんな想いを込めて、食べ物を制限される「制限食」から、食べることが生きる源となる「生源食」へというコンセプトを掲げて活動をしています。
佑佳さんにとっての米粉の魅力は何ですか?
私にとって米粉は、健康面でも良いことやモチモチしていて美味しい事はもちろん、何より手軽に扱えるところが魅力ですね。
私は以前、小麦粉を使ったパンをよく作っていましたが、台の上で何分もこねたり、こね台や何かしらの道具がないと作れなかったりします。一方で、米粉パンはボウルの中で作れるので、作る場所を選びません。また、米粉はサラサラとすぐに水に流れるので、洗い物も楽で作業効率も上がります。パン作りはハードルが高いと感じる方でも、米粉パンならコツさえ掴めば作りやすいですよ。
また、米粉は料理に使っても便利です。例えば、米粉を水に溶いて使えば水溶き片栗粉のようにとろみをつけられるので、ルー不使用のシチューなんかもできちゃいます。料理が苦手な人こそ、米粉は意外と簡単に使えるのでおすすめですね。
この事業で今、目標にしていることは何ですか?
米粉の魅力をもっと多くの人に伝える1年にしたいと思っています。
この事業を始めて今年で5年目になり、これまで個人向けのレッスンを中心に行ってきたのですが、やはり私一人の力で広めていくには限界があると感じています。
そこで、去年から力を入れている認定講師事業を活性化させることで、日本全国に私と同じ想いと知識・技術を持った先生方を集め、より多くの方に米粉パンの良さを広めていくことができると考えています。
現在、認定講師は5期生のレッスンをしているところで、受講中の方も含めると27名の生徒さんが在学中です。生徒さんは、北海道から九州までの日本各地からだけでなく、海外在住の方もいらっしゃいます。今後、日本全国、さらには海外でも「パンダフル工房」の認定講師の先生方が米粉パンの教室を開いていただけることは、とても心強いですし、楽しみですね。
後編へ続く
前編では、事業への想いや米粉の魅力についてお話しいただきました。
後編では、酒井様が子育てと仕事を両立する上で大切にしていることや、夢を持つママたちへのメッセージを伺っていきます。